
生成AIをフル活用する必要はなし!中小企業が使うべき機能は2〜3個だけ

目次
「AIを使いこなせていない」と感じていませんか
経営者の方とお話ししていると、こんな言葉がよく出てきます。
伊藤 結衣生成AI、うちも使ったほうがいいんですよね。でも正直、全然使いこなせていなくて
そうおっしゃる社長さんは、たいてい少し申し訳なさそうな表情をされます。ニュースやセミナーで「AIを活用しないと取り残される」と繰り返し聞かされて、なんとなく焦りだけが積み上がっている。そんな状態です。
安心をしてください!生成AIを、フル活用する必要はありません。
iPhoneの全機能を使っている人は、たぶん一人もいない
少し思い浮かべてみてください。いま手元にスマートフォンがあると思いますが、その中の機能を、どのくらい使っているでしょうか。
多くの方は、
- 電話
- LINEやメール
- カメラ
- 地図
- キャッシュ列決済
このあたりで日常が回っているはずです。
一方でiPhoneには、ショートカット機能、集中モード、ヘルスケアの詳細設定、ファイル管理、写真の細かい編集機能など、一度も触ったことのない機能が山ほど眠っています。搭載されている機能のうち、実際に使っているのは1割にも満たないかもしれません。
でも、そのことで「自分はiPhoneを使いこなせていない」と落ち込む人はいませんよね。
写真がきれいに撮れて、地図で目的地に着けて、家族や取引先と連絡が取れる。それで十分に元は取れています。使っていない9割の機能は、単に「自分には必要なかった」というだけの話です。
生成AIも、まったく同じです
生成AIも、できること自体は膨大にあります。文章作成、要約、翻訳、画像生成、データ分析、プログラミング、議事録の文字起こし、企画のアイデア出し。挙げていけばきりがありません。
ただ、私がご支援している従業員10名前後の会社で、実際に「定着した」使い方を振り返ってみると、だいたい2つか3つに落ち着きます。
よくあるのは、この3つです。
1. 文章のたたき台をつくる
メールの返信、お客様へのお知らせ文、ホームページの原稿。ゼロから書き始めるのがいちばん時間のかかる部分なので、そこをAIに下書きさせて、あとは自分の言葉に直していきます。
2. 長い資料を要約する
届いた仕様書や補助金の要項など、読むだけで30分かかる文書の要点を先に把握しておく使い方です。
3. 相談相手として壁打ちに使う
社内に相談できる人がいないテーマについて、頭の整理に付き合ってもらう使い方です。答えをもらうというより、考えを言語化する相手として使います。
多いように見えて、実際の用途はこれくらいです。そして、この2〜3個が回るようになるだけで、十分に「活用できている」状態と言えます。
無理に使わなくていい場面も、正直にあります
これはリスクの話でもあるので、はっきりお伝えしておきます。生成AIが向いていない仕事も、確実にあります。
数字の正確さが命になる業務(見積もり、原価計算など)。AIは自信たっぷりに間違えることがあります。
取引先の機密情報や個人情報を含むやりとり。入力してよい内容の社内ルールが先に必要です。
会社の判断そのもの。方向性を決めるのは、あくまで経営者の仕事です。
また、「SNSをAIで毎日更新しよう」といった話もよく耳にしますが、そもそもSNSが自社の集客につながっていない業種であれば、AIで効率化しても成果にはつながりません。
必要のない場所に道具を入れても、成果が出ないどころか、続けるための手間だけが増えていきます。無理にやるのは、かえってトラブルの元です。
「今は使わない」も、立派な経営判断です
AIを導入していないこと自体は、遅れでも失敗でもありません。問題なのは、「よく分からないまま焦って、なんとなく手を出して、なんとなくやめる」を繰り返してしまうことです。
これを何度か経験すると、「うちにAIは合わない」という結論だけが会社に残ってしまいます。本当は、合う使い方が1つはあったかもしれないのに、です。
だからこそ、たくさん使うことを目指すのではなく、「自社に効く1つを見つけること」から始めるほうが、ずっと現実的です。
自社に合う生成AIの使い方を見つける2つの質問
では、その1つをどう見つけるか。私がご相談を受けたときに、最初にお聞きしている質問をそのまま紹介します。
【質問1】誰がやってもいい仕事や作業は、ありませんか?
社長がやっても、パートさんがやっても、結果がほとんど変わらない仕事があります。お知らせ文の下書き、届いた資料の要約、議事録の整理。
こういう「やるのは誰でもいい作業」は、AIがやっても結果は同じです。
逆に、お客様との関係づくりや、会社の方向性を決める判断は、誰がやってもいい仕事ではありません。ここはAIに渡す場所ではないので、そのまま社長の手元に置いておいてください。
【質問2】やらなきゃと思いながら、後回しにしている仕事はありませんか?
気が進まなくて、いつも先送りしている仕事はないでしょうか。「やらなきゃ」と思いながら、気づけば3日経っている仕事です。
面白いもので、こういう仕事ほどAIとの相性がよかったりします。気が重い理由は、たいてい「ゼロから書き始めないといけない」ことにあるからです。たたき台が1枚あるだけで、急に手が動き出します。
反対に、自分が好きでやっている仕事や、やっていて楽しい仕事まで、無理に渡す必要はありません。
この2つの両方に当てはまる仕事があれば、そこが最有力のスタート地点です。
さらに生成AIを使える候補を見つける3つの質問
もう少し具体的に探したいときは、この3つも合わせてご覧ください。
人に頼むほどでもないけれど、地味に時間を取られている作業はありませんか?
外注するには小さすぎる、でも毎回30分は持っていかれる。小さな会社にいちばん多いタイプの仕事で、実はここがAIといちばん相性のいい領域です。
ゼロから書き始めるのが大変なだけで、直すのは早い仕事はありませんか?
0から1をつくるのはAI、1から10に仕上げるのは自分。この役割分担がはっきりする仕事は、導入した効果を実感しやすいです。
同じことを、何度も人に説明していませんか?
社長の頭の中にしかない知識は、社内で何度も口頭で繰り返されがちです。こうしたマニュアル化されていない知識は、AIに整理させると形になりやすい領域です。
始める前に確認しておきたい2つの質問
最後に、失敗しないための確認です。ここを飛ばすと、いちばんありがちな事故が起きます。
その仕事は、自分が中身を分かっている分野ですか?
自分が理解している分野であれば、AIが間違えたときに気づけます。逆に、まったくの専門外に使うと、もっともらしい間違いをそのまま信じてしまいます。まずは「自分が中身を分かっている仕事」から試すのが安全です。
今日中でなくても大丈夫な仕事から、始めてみましょう!
締め切りが迫っている仕事で試すと、内容を確認する余裕がなくなります。時間に余裕のある仕事から始めるだけで、トラブルはかなり防げます。
どれか1つでも当てはまれば、そこがスタート地点になります。逆に、ほとんど当てはまらないのであれば、今すぐ導入を急ぐ必要はないのかもしれません。それもまた、きちんとした判断です。
まとめ
生成AIは、使いこなすものではなく、必要な機能だけ使えばいい道具です。
大事なのは、流行に合わせることではなく、自社の仕事のどこが軽くなるのかを見極めることです。まずは1つ、試してみるところからで十分です。
AIとWebのこと、まとめてご相談ください



iBoundでは、Web担当者のいない小さな会社に向けて、AIとWebマーケティングの伴走支援を行っています。「何から手をつければいいか分からない」という段階からのご相談で構いません。
専門用語は使わず、御社の業務内容に合わせて「使ったほうがいい機能」と「使わなくていい機能」を一緒に整理します。まずはお気軽にお問い合わせください。


