
コーチングの集客は月何件のアクセスが必要?売上から逆算する王道のWeb戦略

SNSを更新しているのに、申し込みにつながらない
紹介では顧客を獲得できるものの、Webからの新規相談が増えない
ホームページはあるが、プロフィールとサービス内容くらいしか載せていない
コーチングの良さを、Web上でどう伝えればいいのか分からない
個人でコーチングサービスを提供している方には、このような悩みも多いのではないでしょうか。
コーチングは、Webマーケティングの難易度が比較的高いサービスです。商品を写真で見せられるわけでもなく、実際に受けるまで価値が分かりにくい。さらに、コーチとの相性も重要になります。
そのため、アクセス数やフォロワー数を増やすだけでは十分ではありません。
ただ、難易度が高いからといって、必要な集客の量まで大きいとは限りません。
この記事では、架空のコーチング事業者を例に、まず「月に何件の体験申込が必要なのか」を数字で出すところから始めます。そのうえで、その数字を満たすためにWebで何を整えるのかを順番に考えていきます。
目次
今回、想定するコーチング事業者
今回はこちらの架空事業者を例に考えてみます。

Next Stage Coaching(仮)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業形態 | 個人事業 |
| コーチ | 45歳・男性 |
| 経歴 | 会社員・管理職経験15年以上 |
| 対象 | 30〜50代の会社員・管理職 |
| 主な相談 | キャリア、マネジメント、目標設定、仕事の方向性 |
| サービス | 月2回のオンラインコーチング |
| 月額 | 33,000円 |
| 平均継続期間 | 4.5か月 |
| 体験セッション | 60分・5,500円 |
| 商圏 | 全国 |
| 現在の集客 | 紹介・SNS |
| Webサイト | 3年前に制作 |
| SNS | X・Instagramを不定期更新 |
| 広告 | 未実施 |
| Web担当者 | 本人 |
| 課題 | 紹介以外から安定して顧客を獲得できない |
既存顧客からの紹介で申し込みはあります。しかし、Webサイトから直接問い合わせが来ることはほとんどありません。
SNSも更新していますが、「いいねは付くけれど、申し込みにはつながらない」という状態です。
これはコーチング業では珍しくない状況だと思います。
まず決めたいのは「月に何件の契約が必要なのか」
Webマーケティングの施策を考える前に、先に出しておきたい数字があります。
それは「そもそも何件の契約が必要で、そのために何件の体験申込が必要なのか」という数字です。
ここが決まっていないと、SNSの更新頻度も、記事の本数も、広告費も、多いのか少ないのか判断できません。
Next Stage Coachingの数字で、順番に計算してみます。
手順1:1人あたりの売上(LTV)を出す
まず、1人の顧客が契約期間全体でどれくらいの売上になるかを計算します。
月額33,000円 × 平均継続4.5か月 = 148,500円
これがこの事業のLTV(顧客生涯価値)です。
手順2:必要な契約数を出す
次に、目標とする売上から逆算します。ここではコーチング売上で年600万円を目指すとします。
6,000,000円 ÷ 148,500円 = 40.4件
年間で約41件、月に約3.4件の新規契約が必要という計算になります。
手順3:必要な体験申込数を出す
体験セッションから継続契約に進む割合を50%と置きます。
3.4件 ÷ 50% = 6.8件
つまり、月におよそ7件の体験申込が必要ということです。
手順4:必要なアクセス数を出す
Webサイトを訪れた人のうち、体験に申し込む割合を2%と置きます。
7件 ÷ 2% = 350セッション
月に約350セッション、年間で約4,200セッションあれば計算上は足りることになります。申込率が3%まで上がれば、月230セッション程度で足ります。
この数字が教えてくれること
月350セッションという数字は、Webマーケティングの世界では決して大きくありません。
言い換えると、この事業に月3万PVは必要ないということです。
必要なのは「大量のアクセス」ではなく、「訪れた人がきちんと申し込んでくれるサイト」のほうです。
多くのコーチング事業者が悩んでいる「SNSは伸びているのに申し込みが来ない」という状態は、アクセスが足りないのではなく、受け止める側が整っていないケースが多いのではないでしょうか。
継続を1か月延ばすと、必要なアクセスは2割減る
もうひとつ、この計算から見えてくることがあります。
平均継続期間が4.5か月から5.5か月に延びた場合を計算してみます。
33,000円 × 5.5か月 = 181,500円
6,000,000円 ÷ 181,500円 = 33.1件
年間34件、月2.8件の新規契約で足りるようになります。必要な体験申込は月5.6件、必要なアクセスは月280セッションです。
350セッション → 280セッション。必要なアクセスが約2割減りました。
新規集客を2割増やすのと、継続期間を1か月延ばすのは、売上への効果としてはほぼ同じということです。
そして多くの場合、後者のほうが取り組みやすいでしょう。セッションの質、面談の記録、次回までの行動設計といった、すでに手元にあるものの改善だからです。
Webマーケティングを考えるときも、この視点は持っておきたいところです。
誰がコーチングを必要としているのか
数字の枠が決まったら、次は「その7件は誰から来るのか」を整理します。
今回のサービスでは、次のような人物を想定します。

ペルソナ:佐藤健一さん(仮名)/42歳/会社員
- 妻と子ども2人
- 年収750万円
- 勤続15年
- 最近、管理職になった
- 部下のマネジメントに悩んでいる
- 今の会社にこのまま居続けるべきか迷っている
- 転職サイトを見ることが増えた
- YouTubeでキャリア関連の動画を見る
- Xやnoteなどでも仕事に関する情報を読む
- 「コーチング」という言葉は知っている
- ただし、具体的に何をしてくれるのかは分からない
- 数万円を払う価値があるのか不安
- 最終的には「自分と合う人か」を確認したい
ここで重要なのは、佐藤さんが最初から「コーチングを受けよう」と思っているとは限らないことです。
むしろ最初に考えているのは、「このまま今の仕事を続けていいのかな」「管理職になったけれど、うまくいかない」「自分はこれから何をしたいんだろう」といった悩みでしょう。
つまり、月7件の体験申込は「コーチング」と検索している人だけからは集まりません。悩みの段階にいる人との接点を作る必要があります。
第三者に相談することの価値は、データでも語れる
コーチングそのものを対象とした公的統計は限定的です。
一方で、近い領域である「キャリアコンサルティング」については、厚生労働省が継続的に調査しています。
厚生労働省によると、自らのキャリアについて相談した労働者の約9割が、相談が役に立ったとしています。
役立った内容としては「仕事に対する意識が高まった」が多く、正社員では「自分の目指すべきキャリアが明確になった」、正社員以外では「上司・部下との意思疎通が円滑になった」などが挙げられています。
出典:厚生労働省「キャリアコンサルティングの活用・効果」
もちろん、キャリアコンサルティングと民間のコーチングは同じサービスではありません。
そのため、この数字を「コーチングを受けた人の9割が効果を感じた」と読み替えることはできません。
ただし、第三者との対話を通じて仕事やキャリアを整理することの価値を考える参考データにはなります。
社内に相談できる仕組みがある人は、およそ半分
厚生労働省が2026年7月に公表した「令和7年度 能力開発基本調査」では、キャリアコンサルティングを行う仕組みを正社員に対して導入している事業所は48.4%でした。前回より1.0ポイント低下しています。
裏を返せば、半数程度の事業所では、社内にキャリアについて相談する仕組みがないということです。
同じ調査で、自己啓発を実施した労働者は35.5%(正社員では43.3%)でした。こちらは前回より1.3ポイント低下しています。
自己啓発率が伸びているわけではない点は、正直に押さえておきたいところです。
それでも、一定割合の人が自分でキャリアや能力について考え、行動を取っていること。そして、その半分程度は社内に相談先を持っていないこと。この2つは、独立系コーチにとって意味のある事実だと思います。
「社外の第三者だからこそ」の価値
厚生労働省「令和4年版 労働経済の分析」では、企業内よりも企業外や公的機関でキャリアコンサルティングを受けた人のほうが、自らの能力が他社に通用する可能性や、継続的な自己啓発の必要性についての意識が高まる傾向が確認されています。
厚生労働省は、客観的な第三者への相談により、自らの市場価値の把握や自己啓発への意識向上につながる可能性があるとしています。
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ただし、これは傾向を示すものであり、「社外の人に相談すればキャリアが良くなる」という因果関係を証明したものではありません。この点は厚生労働省も注意を促しています。
それでも、会社では話しにくいことを、利害関係のない第三者と整理するという価値を説明する材料にはなるでしょう。

コーチング業のWebマーケティング導線
必要な数字と、対象となる人が見えてきました。ここから導線を考えます。
今回の事業であれば、基本的な流れは次のようになります。
- 仕事・キャリアについて悩む
- Google検索・SNS・YouTubeなどで情報収集する
- 悩みを解決する記事・動画と出会う
- コーチの存在を知る
- プロフィール・考え方・専門性を確認する
- 事例・お客様の声を確認する
- サービス内容・料金・FAQを確認する
- 体験セッションを受ける
- 相性を確認する
- 継続契約に進む
SEO、SNS、YouTube、広告は、それぞれ独立した施策ではありません。
この導線の中で役割を持たせます。そして、施策ごとに「この数字にどう効くのか」を確認します。
優先度A:まずWebサイトを整える
最初からSNS投稿や広告を増やす必要はありません。
先ほどの計算のとおり、この事業に必要なのは月350セッション程度です。まずは、そこに来た人を受け止めるWebサイトを整えます。
最低限そろえたいのは、次のような情報です。
- 誰を対象にしたサービスなのか
- どんな悩みに対応するのか
- コーチングで何をするのか
- コーチはどんな人物なのか
- どんな経歴・専門性があるのか
- セッションの流れ
- 料金
- お客様の声
- 事例
- FAQ
- 体験セッションの案内
特に重要なのがプロフィールページです。
「誰から受けるのか」が重要なサービス
例えば、同じ「キャリアコーチング」でも、
- 大企業で管理職を経験したコーチ
- 起業経験のあるコーチ
- 人事経験のあるコーチ
- 転職経験が豊富なコーチ
では、相談したい人が変わります。
資格や経歴を並べるだけではなく、誰の、どんな悩みを支援することが得意なのかまで伝えましょう。
さらに、次のような内容まで掲載すると、相性を判断しやすくなります。
- なぜコーチをしているのか
- どんな経験をしてきたのか
- コーチングで大切にしていること
- どんな人には向いているのか
- 逆に、どんな人には向いていないのか
「向いていない人」を書くのは勇気がいりますが、ミスマッチな申込が減り、体験からの継続率が上がる効果も期待できます。継続率が上がれば、必要な体験申込数そのものが減ります。
優先度A:事例とお客様の声を充実させる
コーチングは成果が見えにくいサービスです。だからこそ、事例が重要になります。
ただし、「人生が変わりました」「受けてよかったです」だけでは十分に価値が伝わりません。
例えば、次のように構造化します。
管理職Aさんの事例
Before:管理職になったものの、部下とのコミュニケーションに悩んでいた。
セッション:隔週で3か月間実施。
行動:自分のマネジメント方法を整理し、部下との1on1の進め方を変更。
After:部下とのコミュニケーションに対する考え方が整理され、自分なりのマネジメント方針を持てるようになった。
このように、Before → セッション → 行動 → Afterの流れで紹介します。
読み手が知りたいのは「すごい結果」ではなく、「自分と似た状況の人が、何をして、どう変わったのか」です。
なお、事例やお客様の声の掲載には守秘義務や本人の同意への配慮が必要です。加えて、法令上の注意点もあります。この点は後半で改めて触れます。
優先度A〜B:SEOは「コーチング」だけを狙わない
SEOでも重要なのは顧客の悩みです。
今回のコーチなら、次のようなテーマが考えられます。
課題を認識している人向け
- 40代で仕事にやりがいを感じなくなったときに考えたいこと
- 管理職になったものの自信がないときの考え方
- 今の会社に残るか転職するか迷ったときの整理方法
- やりたい仕事が分からない40代が整理したいこと
解決方法を探している人向け
- キャリアコーチングとは?
- コーチングとカウンセリングの違い
- キャリアコーチングと転職エージェントの違い
- 上司以外にキャリアを相談するメリット
比較検討している人向け
- キャリアコーチングの料金はどのくらい?
- コーチを選ぶときに確認したいポイント
- コーチングが向いている人・向いていない人
- 初回セッションでは何をする?
つまり、悩み → 解決方法 → コーチングを知る → コーチを知る → 体験という流れをSEOでも作ります。
「SEO=ブログをたくさん書く」ではありません。
サービスページ、プロフィール、事例、FAQなども、検索流入と意思決定の両方に関わる重要なコンテンツです。
記事本数の目安も、逆算で考えられます。月350セッションを狙うなら、1記事あたり月20〜30セッションとして12〜18本程度。「毎週更新しなければ」と焦る必要はなさそうです。
優先度B:SNSは「人柄と考え方」を伝える
コーチング業はSNSとの相性も比較的良いサービスです。ただし、毎日投稿する必要はありません。
SNSの役割を、フォロワーを増やすことではなく、コーチの考え方や人柄を知ってもらうことと定義します。
例えば、次のような発信です。
- 管理職になったばかりの人が陥りやすい悩み
- 40代のキャリア相談でよく出るテーマ
- 転職するか迷ったときに、最初に考えてほしいこと
投稿からプロフィールへ。プロフィールからWebサイトへ。Webサイトから事例や体験セッションへ。この導線を作ります。
優先度B:YouTubeや動画で「人」を伝える
コーチングでは動画も有力です。
受ける側からすると、「どんな人なんだろう」「話しやすそうかな」「考え方が自分に合うかな」という不安があります。
動画なら、表情、声、話し方、考え方、雰囲気まで伝えられます。
動画を見てすぐ申し込んでもらう必要はありません。動画 → Webサイト → プロフィール → 事例 → 体験セッションとつながれば十分です。
優先度B:体験セッションを設計する
コーチングでは、いきなり3か月や6か月の契約をすることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
そこで重要になるのが体験セッションです。
初回体験セッション(60分・5,500円)
- 現在の悩みを整理
- 理想の状態を整理
- 課題を言語化
- 次に取る行動を考える
- 継続コーチングが必要か相談
単なる「営業のための無料相談」にするのではなく、体験そのものに価値を持たせます。これなら「一度受けてから判断しよう」と考えやすくなります。
数字の面でも、体験を有料にする意味があります。月7件の体験申込があれば、体験だけで月38,500円、年間で約46万円になります。これは集客コストの一部を回収する原資になります。
そして、ここでもう一度確認したいのが体験からの継続率です。この数字が50%から60%に上がれば、必要な体験申込は月7件から5.7件に減ります。必要アクセスも月283セッションまで下がります。
体験セッションの設計は、集客の入口であると同時に、必要な集客量そのものを左右する場所でもあります。
優先度C:広告は「1件いくらまで出せるか」を決めてから
Webサイトや体験への導線が整ってきたら、広告も検討できます。
検索広告なら、「キャリアコーチング」「管理職 コーチング」「エグゼクティブコーチング」「キャリア相談」など、比較的ニーズが明確な検索への配信が考えられます。
ただし、始める前に決めておきたいのが上限単価です。
LTVは148,500円でした。獲得コストをその20%までとするなら、1契約あたり約29,700円まで出せる計算になります。
体験から継続への移行率が50%なら、体験申込2件で1契約です。つまり、体験申込1件あたり約14,850円が上限の目安になります。
この数字を持たずに広告を始めると、「クリック単価が高い気がする」「効果があるのかよく分からない」という感覚的な判断になりがちです。
また、広告 → 抽象的なトップページ → 無料相談だけでは、判断材料が不足します。
広告を始める前に、LP・サービス説明 → プロフィール → 事例 → FAQ → 体験という受け皿を整えておきましょう。
見落とされがちな、特商法と景品表示法
コーチングのWeb集客では、法令面の話がほとんど語られません。ただ、個人向けにオンラインで申し込みを受ける以上、避けて通れない部分です。
オンラインで申し込みを受けるなら「通信販売」に該当します
特定商取引法の「通信販売」は、物販だけを指すものではありません。インターネットで申し込みを受けるサービス契約(役務提供契約)も含まれます。
つまり、Webサイトから体験セッションや継続契約の申し込みを受けている場合、特定商取引法の広告表示義務(法第11条)の対象になります。
表示が必要な主な項目は次のとおりです。
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 対価(料金)と、それ以外に負担すべき金銭
- 支払時期・支払方法
- 役務の提供時期
- 申込みの撤回・解除に関する事項
「特定商取引法に基づく表記」のページがないコーチングサイトは、実際には少なくありません。
なお、事業者向け(BtoB)の取引は適用除外です。法人向けのエグゼクティブコーチングのみを提供している場合と、個人向けにも提供している場合とで扱いが変わる点は押さえておきたいところです。
特定商取引法ガイド
通信販売|特定商取引法ガイド
特定商取引法は、消費者トラブルを生じやすい特定の取引類型を対象に、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為を取り締まることにより、消費者取引の公…
解約条件は、自分で決めて書いておく必要があります
意外に思われるかもしれませんが、通信販売にはクーリング・オフ制度が適用されません。
その代わりに、特定商取引法には「契約の申込みの撤回又は契約の解除」という規定(法第15条の3)があります。広告に特約の表示がない場合、消費者は8日以内であれば申込みの撤回や解除ができるというものです。
ただし、これは商品の引渡しや権利の移転を受けた日を起算点とする規定です。コーチングのような役務(サービス)の提供には、基本的に当てはまりません。
つまりコーチングの場合、解約・返金の条件は自分で定めて、分かりやすく表示しておかないと、拠りどころになるルールがないということです。
さらに、コーチングは特定商取引法の「特定継続的役務提供」にも含まれません。特定継続的役務提供として指定されているのは、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7業種です。
学習塾や語学教室であれば、中途解約時の清算ルールが法律で定められています。コーチングにはそれがありません。
3か月・6か月といった期間契約を扱うなら、途中でやめたいと言われたときにどうするのかを、あらかじめ契約書とサイトに書いておきたいところです。
「人生が変わりました」は書き方に注意が必要です
コーチング業で特に注意したいのが、体験談の扱いです。
消費者庁は、効果や性能を得られた人の体験談を表示した場合、「個人差があります」といった打消し表示を明瞭に記載していても、一般消費者が「大体の人が効果を得られる」という認識を抱くと考えられるため、実際よりも著しく優良と誤認されるときは景品表示法上で問題となるおそれがある、としています。
「※結果には個人差があります」と小さく添えておけば安心、というわけではないということです。
さらに、特定商取引法第12条も、通信販売の広告で著しく事実と相違する表示や、著しく優良・有利と誤認させる表示を禁止しています。同じ表現が景品表示法と特定商取引法の両方に違反するケースもあります。
だからこそ、先ほど紹介したBefore → セッション → 行動 → Afterの書き方が有効です。
「人生が変わった」ではなく「1on1の進め方をこう変えた」という事実を書く。断定的な効果を約束するのではなく、その人に起きたことを具体的に書く。
読み手にとって分かりやすく、かつ法令上のリスクも小さい。事例の書き方としては、こちらのほうが合理的だと思います。
紹介中心でもWebサイトは重要

コーチングでは、紹介から顧客を獲得している人も多いでしょう。その場合でもWebサイトは重要です。
例えば知人から「このコーチ、よかったよ」と紹介されたとします。
その場ですぐ申し込むとは限りません。
多くの場合、一度名前を検索し、「どんな人?」「何が得意なの?」「料金はいくら?」「自分の悩みも相談できる?」と確認します。
つまり、次のような導線も存在します。
- 紹介を受ける
- 指名検索する
- Webサイトを見る
- プロフィールを読む
- 事例・お客様の声を確認する
- 体験セッションに申し込む
Webサイトは新規アクセスを集めるためだけのものではありません。
すでに興味を持っている人の不安を解消し、信頼を補強する場所でもあります。
紹介経由の申込は、この記事の冒頭で計算した「月7件」の一部を確実に埋めてくれます。紹介が強い事業ほど、サイトを整える効果は早く出ます。
コーチング業で見るべきKPI
フォロワー数やPVだけで判断しないようにしましょう。
冒頭の逆算に対応させると、確認すべき数字は次のようになります。
| 見る数字 | 今回の目安 |
|---|---|
| Webサイトへのアクセス数 | 月350セッション |
| 体験セッション申込数 | 月7件 |
| 体験セッション申込率 | 2% |
| 体験から継続契約への移行率 | 50% |
| 新規契約数 | 月3.4件 |
| 平均継続期間 | 4.5か月 |
| LTV | 148,500円 |
| 顧客獲得単価 | 29,700円以下 |
このほか、サービスページ閲覧数、プロフィール閲覧数、事例閲覧数なども確認したいところです。
例えばSNSのフォロワーが1万人いても、体験申込が月1件なら改善が必要かもしれません。
反対に、アクセスが月350件しかなくても、毎月7件の体験申込につながっているなら、それで目標は達成できます。
見るべきなのは、最終的に事業成果につながっているかです。
3〜6か月で進めるWebマーケティング
すべてを一度に始める必要はありません。
1か月目:現状整理と数字の把握
- GA4・Search Consoleを確認
- 現在の問い合わせ経路を整理
- 顧客に選ばれた理由をヒアリング
- LTV・継続期間・体験からの移行率を算出
- 必要な体験申込数とアクセス数を逆算
- 競合を調査
- Webサイトの問題点を洗い出す
2か月目:Webサイト改善
- サービスページ改善
- プロフィール強化
- 料金掲載
- セッションの流れを掲載
- FAQ作成
- CTA改善
- 体験セッションを設計
- 特定商取引法に基づく表記を整備
3か月目:信頼コンテンツ
- お客様の声
- コーチング事例
- コーチの考え方
- プロフィールコンテンツ
- よくある相談内容
4〜6か月目:集客を強化
- SEOコンテンツ制作
- SNS発信
- 必要に応じて動画
- メール等による継続接点
- 広告テスト(上限単価を決めてから)
- アクセス・体験申込・継続率を分析
- 成果の良い施策へリソースを集中
コーチング業で「やらなくていいこと」
人員や予算が限られている場合は、やらないことを決めるのも重要です。
例えば、次のような施策は必須ではありません。
- 毎日SNSを投稿する
- X・Instagram・TikTok・Facebookを全部運用する
- 毎週ブログを書く
- フォロワー数だけを追いかける
- 「コーチングとは?」の記事を大量生産する
- 目的なくYouTubeを始める
- Webサイトが弱いまま広告費を増やす
- 資格だけを大量に並べる
- 抽象的な自己啓発メッセージばかり発信する
限られた時間なら、顧客が知りたい情報をWebサイトに整えることから始めた方がよいでしょう。
必要なアクセスが月350セッション程度だと分かっていれば、こうした「やらない判断」もしやすくなります。
まとめ:数字を出してから、信頼までの導線を作る
コーチング業のWebマーケティングは、「SEOをやれば集客できる」「Instagramを毎日更新すれば申し込みが増える」という単純な話ではありません。
ただ、必要な量は思っているほど大きくないことも多いはずです。
今回の例では、年商600万円に必要なのは月7件の体験申込と、月350セッションのアクセスでした。
その7件を集めるために必要なのは、次の流れです。
- 悩みとの接点
- 役立つ情報
- コーチの専門性・考え方・人柄
- 事例・お客様の声
- サービス・料金・FAQ
- 体験セッション
- 継続契約
コーチング業のWebマーケティングで売るべきなのは、単なる「60分のセッション」ではありません。
顧客が自分の課題を整理し、「この人になら相談してみたい」と思えるところまで、Web上で信頼を積み重ねていくことが王道です。
すべてを一度に行う必要はありません。
まずは、自社のLTVと継続期間を計算して、必要な体験申込数を出してみるところから始めてみませんか。そこが決まると、次に何をやるべきかもはっきりしてくるはずです。
なお、ここまで書いてきたのはあくまで一般的な考え方です。実際にどこから手をつけるべきかは、商圏の競合状況、Webに割ける時間や人手、すでにある紹介網やサイトの状態、広告に回せる予算、そして「書くのが得意か、話すのが得意か」といったご本人の適性によって変わります。
同じコーチング業でも、SEOから始めたほうがいい方と、YouTubeやプロフィールの作り込みから始めたほうがいい方がいます。この記事の順番がそのまま当てはまるとは限りません。
Webマーケティングの進め方を、一緒に整理しませんか
iBoundは、Web担当者がいない小さな会社・個人事業のためのデジタル伴走支援を行っています。
専門用語をできるだけ使わずに、WebマーケティングとAI活用を「自社の場合、次に何をやればいいのか」という形に翻訳してお伝えすることを大切にしています。
例えば、次のようなご相談を承っています。
- 何から始めればいいのか、優先順位を一緒に整理したい
- 今のWebサイトの、どこから直せばいいのか知りたい
- SEO・SNS・広告のうち、何に力を入れるべきか決めたい
- GA4やSearch Consoleの見方を教えてほしい
- AIを自社の業務にどう使えるか相談したい
「何をやればいいか分からない」という段階からで構いません。お気軽にご相談ください。


