クライアント先のオフィスに足を踏み入れた瞬間、彼女が駆け寄ってきた。

「遠藤さん!あの商品が売れたんです!」
Web担当の斉藤さんの顔は、そのままポスターにできそうなくらい、まっすぐな笑顔でした。
事の始まりは数週間前。店舗の棚で静かに眠っていた「訳あり商品」をどうにかしたい、という相談からだでした。品質に問題はない。ただ、ちょっとしたワケがあって売れ残っている。在庫として倉庫に置いているのはもったいないから、ECサイトで売ってみよう、という話になりました。
私の役割は「教える」ことではなく「考えるのをサポートする」こと。
だから正直に言えば、私はほとんど何もしていない。
「どんな人が欲しいと思うか、想像してみましょう」「この見せ方だと、どう感じますか?」問いかけては、斉藤さんが考える。考えて、試して、また考える。うまくいかないこともあった。「なんで売れないんだろう」と首をかしげる日もあった。
それでも彼女は、自分の頭で考え続けました。

AIに聞けば、戦略くらいすぐに出てくる。ターゲット設定、訴求ポイント、価格帯の見直し。整然とした答えが、数秒で並ぶ。
でもたぶん、AIの回答に従うだけだったら、同じ「売れた」でも「売れたんです!」という笑顔と喜びはなかったように思う。
自分で悩んで、自分で決めて、自分でやった。だから彼女の笑顔は、あんなに眩しかったのでしょう。

AI時代に、人間にしかできないことって何だろう、と最近よく考えている。
もしかしたらそれは、「喜ぶこと」なのかもしれない。自分が成し遂げたという実感。試行錯誤の末にたどり着いた達成感。それが積み重なって、その人の人生になっていく。

あの商品が売れたんです!
あの時の彼女の満面の笑みが、今日も頭の中で鮮明に浮かんできます。
これからも、こういう「喜び」を作れるようにサポートしていこうと強く誓いました。
※この話は、担当者さんの許可を得て記事にしたものです。写真は私がその時を思い出して生成AIを使って再現したイメージ画像です。
